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会社と個人資産の関係

会社をつくって個人資産を守る

1.つくる会社の種類によって、「無限責任」と「有限責任」がある

会社法における分類は全部で4種類

 ひと口に会社といっても、その種類はさまざまな種類があります。
 会社法では、出資者と経営者が分離している「株式会社」、出資しないと経営ができない「持分会社」とに分類されています。
 持分会社はさらに、出資者の責任が、有限責任か無限責任かによって、「合名会社」と「合資会社」の3種類に区分されます。このうち、持分会社では出資者のことを社員と呼びます。

合名会社の無限責任社員は厳しい

 合名会社では、出資者の全員が無限責任を負わなければならないので、社員はみんな無限責任社員になります。ここでいう無限責任とは、会社が破産などをした場合に、債権者に対して自己の全財産を投げ打ってでも、会社の債務を支払わなければならないというものです。
 判例によると、無限責任社員の弁済責任は、会社の債務が消滅しないかぎり、時効も成立しないという大変厳しいものとなっています。
 合名会社は、出資者である社員全員が会社の業務を執行する代表者になるので、合名会社をつくった場合には、当然、無限責任を負うことになります。合名会社は法人格を持っていますが、非常に個人事業に近い形といえます。

合資会社には無限責任社員と有限責任社員がある

 合資会社は、合名会社よりも少し緩くなって、事業を経営する無限責任社員と、資本を提供する有限責任社員とに分かれます。
 無限責任社員に関しては、合名会社と同様の責任を負います。
 有限責任社員は、会社が資本金以上の損失を出した場合でも、自分の出資した金額を限度とする責任のみを負うだけですみます。言い換えるなら、自分の出資額の回収はあきらめなければなりませんが、会社の債権者に対して、自己の財産を投げ打ってまで支払をする必要はありません。
 合名会社や合資会社の場合には、金銭出資だけでなく、労務出資も認められています。そこで、資金を提供してくれる人に対して、有限責任社員という立場で有限責任を保障しましょうというのが、合資会社です。
 合資会社は、中心となって会社を興した人が無限責任社員となるのが通常です。無限責任社員は、会社を代表して業務を執行しますので、当然に無限責任を負うこととなります。

合同会社は全員が有限責任社員

 合同会社になると、さらに緩和されて、社員全員が有限責任社員ということになります。これなら、会社が事業に失敗した場合でも、社員は自分が出資した金額の範囲内で責任を取ればよいことになるので、安心して出資をすることができますね。
 合同会社の場合にも、原則として社員全員が会社を代表して業務を執行することとないりますが、社員の人数が多い場合などは、定款で別に代表者を定めることもできます。この場合、代表者は複数でもかまいません。
 合同会社の場合、たとえ代表者であっても、有限責任であることに代わりはありません。
 ちなみに、合同会社の社員の場合にかぎっては、労務出資は認められていないので、必ず金銭で払い込みをしなければなりません。

株式会社の株主は有限責任

 日本では、「会社=株式会社」というくらいに、全会社の大多数を株式会社が占めています。ですから、会社をつくるというと株式会社を指している場合がほとんどです。
 株式会社では、利益を上げることを目的に、多くの人(株主)から資本が集められます。経営者はこの資本をもとに事業を営み、株主に利益の配当を行います。
 株式会社では、このように資本と経営が分離しているので、株主は有限責任のみを負えばよいこととなっています。

これからつくる「小さな会社」の場合

 株式会社では、経営者が自ら出資を行うことももちろん可能です。会社法施行後は、株主1人・取締役1人でも株式会社の設立が可能となったので、中小企業の場合、1人の人が株主であり、同時に取締役でもあるという例も珍しくはありません。というよりも、最初に会社をつくろうとするときには、経営者が出資者であるオーナー会社が、圧倒的な数を占めています。
 しかしその場合でも、株主は出資額の範囲内でのみ責任を負うだけですみます。つまり、出資した金銭は返ってこないとしても、それ以上に会社の負債を個人で返済する義務はありません。たとえ、取締役や、代表取締役になったとしても、株主として有限責任のみを負えばよいのです。この点については、上場会社であろうと実質一人会社であろうと何ら、変わりはありません。

個人事業は無限責任?有限責任?どちらか

 銀行から融資を受けている場合で、会社と個人事業を比較してみます。
 会社なら、代表取締役が連帯保証人になっている場合、もちろんその部分について弁済義務が発生するのは言うまでもありませんが、連帯保証人になっていなければ、代表取締役としての弁済義務は発生しません。
 しかし、個人事業の場合には、そもそも事業用資産と個人資産の区別がありませんから、事業で失敗した場合には、それまでに蓄えた個人の全財産を取り崩してでも、借入金や未払金の支払いにあてなければならないのは、前述したとおりです。

個人事業主は、無限責任か有限責任かということになると、無限責任ということになります。

ポイント個人資産を守るなら株式会社にする。

個人事業の場合には、事業で生じたすべての負債に対して個人財産で支払う義務がありますが、株式会社では、会社の資産で払いきれない債務についてまで個人の財産で支払う必要はありません。

2.個人事業と会社では、資産の名義が異なる

個人事業の場合、名義はあくまでも「個人」

 個人事業と会社にした場合に、最も異なることのひとつに名義の問題があります。
 個人事業の場合、不動産や自動車などは事業用に使用している場合でも、屋号での登記をしたり登録をすることはできません。事業で使用している財産も非事業用に使用している財産も、法律的には個人に所属する資産として扱われます。会社であればどちらにしても会社名義になります。

屋号でつくった銀行口座は誰に帰属?

 銀行で口座を開く場合はどうでしょうか。
 会社であれば、「株式会社○○○社」という会社の名前で、口座を開くことができます。個人事業でも、もちろん屋号で通帳をつくることは可能ですが、「○○○社 石川功」というように、必ず屋号のあとに個人名を入れなければなりません。では、次の3種類の銀行口座の所有権は、誰に帰属するのか考えてみましょう。
①会社名義「株式会社○○○社 代表取締役 石川功」
②屋号名義「○○○社 石川功」
③個人名義「石川功」
①の会社名義の通帳は、代表者の氏名は記載されていますが、株式会社は法律上の人格を持っていますから、もちろん会社に帰属します。
 一方、②の屋号名義の通帳はどうでしょうか。屋号の場合は、法律的な裏づけがありませんから、財産を所有することができません。したがって、たとえ屋号名義の通帳をつくったとしても、法律上は、石川功という③の個人名義の通帳と同様に、個人に帰属することになってしまいます。

ペイオフの問題

 現在、銀行が破綻したときに、ペイオフで払い戻しが保障されている預金の金額は、1,000万円までとされています。破綻した金融機関は預金保険機構に預金者のデータを提供します。預金保険機構は、複数口座を持つ預金者の残高を集約する「名寄せ」をします。1人で何人分もの預金を引き出すことで、1,000万円をオーバーすることを防ぐのが目的です。
 ひとつの銀行の預金額が1,000万円を超える場合には、法人格を取得して会社名義の口座を開いておけば、元本保証の金額が実質倍になります。

事業を拡大したいとき

 個人事業の場合、事業用の定期預金でも、いつでも自由に引き出すことができますから。どこまでが運転資金なのか個人の蓄えなのか、事業主本人の認識もあいまいになりがちです。子どもの教育資金なのか、次の事業用の投資資金なのか、きちんと管理することは実際には難しいことです。
 会社の場合には、個人と会社の預金はまったく別の管理をしなければならないので、個人名義の預金は個人の貯蓄用にとっておくことができますし、会社名義の預金は思い切って投資に回すことができます。会社のほうが勇気を持って新規事業に踏みだすことができるというわけです。

個人の場合、ペイオフの問題や自己資金の線引きが不明確な部分があり事業拡大が難しい

 個人事業の場合は、事業用資金の名義も個人と名寄せされるので、ペイオフで保護される確率が低くなります。また、貯蓄目的の線引きがあいまいになりがちなので、安心して新規事業に投資することができません。

3.個人事業における事業承継の落とし穴

代表者が死んだとき銀行口座はどうなる?

 前項でお話ししたように、屋号名義の事業用口座は、法律上、個人口座と同じ扱いです。個人事業主が死亡した場合、金融機関はすぐにその口座を凍結してしまうので、事業用資金でも引き出すことができなくなります。
 会社の場合には、代表取締役が死亡しても、会社名義の口座が凍結されることはありませんから、事業の継続に支障が生じる心配は不要です。

融資を受けている場合はどうなる?

 銀行から事業用資金の融資を受けている場合、個人事業だと個人の債務ですから、事業の後継者でない相続人にも返済の義務が生じることになります。相続する非事業用の財産を、借入金の返済にあてなければならないということも起こり得ます。
 会社なら、もし代表者の死亡に伴って事業を廃止するような事態が起きても、会社の債務まで相続人である子どもたちに返済の義務はありませんから、個人の財産を守ることが可能です。

個人事業の場合、相続人が複数いる場合は問題山積

 個人事業の場合、事業主が死亡したときに、事業用の預金から、事業用不動産、備品などの事業用資産も含めて、すべてが相続の対象となります。
 子どもが複数いる場合に、そのうちの1人が後継者となって事業を継続したくても、事業用資産以外に十分な財産がない場合、遺産分割の合意を得るために、ほかの相続人に対して、後継者自身の財産を渡さなければならないということも考えられます(これを、代襲相続といいます)。

会社の場合、株式の形で相続なら、事業承継も安心

 会社をつくると、不動産や預金などの事業用資産は、会社の株式という形で、子どもたちに相続させることができます。この場合、後継者である子どもが、会社の発行済み株式の最低でも半分以上を保有していれば、会社経営に支障をきたすこともありません。
 なぜ半分以上かというと、会社を運営していくうえで役員の選任などの普通決議は、株主の過半数の賛成で決められるからです。また、会社の商号変更など、重要なことは特別決議といって、株主3分の2以上の賛成で決めることができますから、後継者を決めたら、最低でも過半数の株式、可能なら3分の2の株式を相続するようにしておけば安心です。

個人事業の場合、離婚の場合も、その先が不安

 同じようなことが、離婚をする場合にもあてはまります。
 個人事業主が離婚をする場合、事業用資産も含めたところで財産分与の額が計算されることになります。生活の糧である事業用資産まで、財産分与の対象になるなんて・・・なかなか割り切れるものではありません。
 会社にしておけば、会社の財産は当然会社に帰属するものですから、財産分与の対象にはなりません。純粋に個人資産の分だけを対象にして、離婚の交渉に臨むことになります。

会社をつくっておくと相続、離婚時に資産確保がスムーズ

 事業主が死亡して相続が発生した場合でも、会社にしておくことで個人の資産だけでなく、結果的に事業そのものを守ることができます。

4.事業が失敗しても、再出発を図りやすいのは会社?個人事業?

会社の場合、倒産したときの「任意整理」

 ひと口に倒産といっても、法的にはさまざまな形態があります。倒産は大きく、「法的整理」と「私的整理(任意整理)」とに分けられます。
 任意整理の場合、裁判所の関与なしに債務者と債権者が任意に協議して、財産関係の処理を決めていきます。さらに、当事者同士の話しあいで、清算を目的として行うか再生を目的として行うかも決定します。

会社の場合、倒産したときの「法的整理」

 これに対し、法的整理は読んで字のごとく裁判所の監督下で行われます。法的整理は、さらに「清算型手続」と「再生型手続」に分けられます。
清算型手続きでは、倒産状態となった会社の財産を換価して、可能なかぎり債権者に借金の弁済をすることを目的として行います。
 一方、債務の減免や猶予を受けながら、現在の財産をもとにして収益を上げることで再生を図り、減免された債務について弁済していく制度を再建型手続といい、「民事再生法」や「会社更生法」がこれにあたります。

個人事業の場合、考え方は会社と同じ

 個人の場合にも、会社と同じように、法的整理と任意整理の2通りの方法があります。いずれにしても、信用情報機関に、いわゆるブラックリストとして登録されて、5~10年程度はローンが組めなくなります。
 法的整理の場合、裁判所の破産手続を経て「自己破産」をする方法と、裁判所を通じて借金の元金を減らし、残額を分割で返済する「個人民事再生手続」とがあります。

個人事業の場合、自己破産する前に注意が必要

 個人事業主が、倒産のような事態になった場合、個人の財産を取り崩してでも、まずは取引先への支払いや税金の支払いをしなければなりません。
 自己破産の場合には、もちろん個人の財産はすべて失ってしまいますし、個人民事再生や任意再生手続の場合でも、個人の蓄えや財産を残したまま、借金だけを減額してくれるほど債権者は甘くありません。これは、個人の財産が事業用と個人用というくべつをつけることができないからです。

会社の場合、倒産しても、個人の財産は守れる

 しかし、会社であれば万が一事業に失敗しても、会社の債権者が代表取締役の財産を差し押さえることはできません。会社は会社の財産の範囲内で支払をすればよく、個人の財産を取り崩して支払う義務はありません。
 もちろん、会社の代表取締役が銀行借入金の保証人になっている場合には、代表者個人が借入金の返済を要求されますし、代表者の自宅を会社の借入金の担保として提供している場合には、自宅を差し押さえられてしまいます。
 しかし逆にいえば、このような法的なよりどころがないかぎり、たとえ会社が倒産したとしても、個人の財産を守ることは可能だということです。

ポイント会社を作っておくと、個人資産が守れる。

 事業に失敗したときのことを考えると、個人事業の場合には個人の財産を使ってでも支払う義務が発生します。会社であれば、代表者個人の財産を守ることが可能ですから、会社のほうが有利です。

 

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